●過労や過大なストレス、睡眠や休憩の不足や、同じ動作の繰り返し、同じ姿勢の継続、不自然な動きや、無理な体勢の連続、運動不足などにより、心身の様々な不調や不具合が、生じやすくなることがあります。
・不具合の一つとして、皮膚(皮下組織や皮下脂肪を含む)と、その下の筋膜(きんまく)と、筋膜に包まれた筋肉が、癒着(ゆちゃく)して、筋肉がコリ(過緊張・硬結)して、動きづらくなることがあります。
・筋肉などの動きづらさは、血行やリンパなど体液の循環や 新陳代謝・老廃物・疲労物質の流れを妨げ、手・足・顔など体の冷え・むくみの原因の一つになります。
・さらに、身体の各部位の働きの低下につながり、神経(知覚神経・運動神経・自律神経)や 脳などが、過敏または 鈍くなり 誤感知や 誤作動したり、生体物質(体内物質・脳内物質・ホルモン)などの作用が不安定になり、心身の様々な不調や、不快感・痛みなどが、生じる場合もあります。
●筋肉のコリや、筋膜の癒着の原因の一つとして、上記の要因などにより、深層筋肉(インナーマッスル・inner muscle)が使われにくい状態が続き、表層筋肉(浅層筋肉)の過負荷(使い過ぎ)が生じることがあります。
・一例として、「肩コリや首痛・頭痛や背中の張り(ハリ)」などの要因の一つに、「僧帽筋」(そうぼうきん)への、過負担があります。
・僧帽筋は、脊柱(せきちゅう・背骨)の上部の両側にあり、後頚部・首・背中(上背部)から、肩甲骨・肩関節に向かい、片側が三角形・左右両方で菱形の、広く大きな表層の筋肉です。
・僧帽筋の、起始(きし・支点)は、後頭骨(こうとうこつ・頭蓋骨の後ろ下部)と、脊柱(せきちゅう・背骨)の中の、頚椎(けいつい・首の骨)から、胸椎(きょうつい・背中の骨)などです。
・僧帽筋の、停止(ていし・作用点・動く側)は、鎖骨(さこつ)の外側、肩甲棘(けんこうきょく・肩甲骨上方の隆起)、肩峰(けんぽう・肩甲棘の外側で上腕骨につながる部分・肩関節)などです。
・僧帽筋は、肩甲骨や肩関節(肩峰と鎖骨の外側)・腕や首・頭を、脊柱(せきちゅう・背骨)の方に引き寄せたり、上げ下げする働きがあります。呼吸の吸気の補助の働きもします。
●以下に、僧帽筋の奥にある「深層筋」を、使ったり動かしたり・ストレッチ(伸ばす)したりして、表層の僧帽筋の負担を和らげて解す、「肩こり緩和」のエクササイズ(exercise・運動や体操)を、ご紹介します。
・僧帽筋の奥(骨に近い方)にある 深層筋肉(インナーマッスル)として、背骨の頚椎・胸椎と肩甲骨(内縁)の間にある「小菱形筋」(しょうりょうけいきん)と「大菱形筋」(だいりょうけいきん)、頚椎の前側に沿って付いている「頚長筋」(けいちょうきん)などがあります。
・まず「菱形筋(小菱形筋・大菱形筋)」のエクササイズを、ご紹介します。
(1) 両腕を体の両側に下げ、顎(あご)を引く。
(2) 両手の掌(ひら)を体の両側の内側に向けて、両腕を上げていき、ゆっくりと頭上に伸ばす。
(3) 頭の上で、両手の掌を、前側に向ける。
(4) 両肘を徐々に曲げながら、両手が頭より後ろを通るように、両肘と両腕を、ゆっくりと下げていく。
(5) 両肘を曲げた状態を保ち、肘を降ろしきった所で、両肘を後ろ(背中側)に寄せ、胸を開く。
(6) 上記の、左右の肩甲骨が背骨側に寄り、胸が開かれた状態を、2秒間くらい保つ。
(7) 両手と両腕を、ゆっくりと体の両側に下ろし、顎の力を抜き、元の体勢に戻り、深呼吸をする。
(8) 上記の運動を、やりたい回数だけ繰り返す。
・次に「頚長筋」のエクササイズを、ご紹介します。
(1) 仰(あお)向けになって膝を曲げ、深呼吸を何回かして、軽く全身の力を抜く。両手は体の両側に置く。
(2) 顎(あご)を引いて、首の後ろを適度に伸ばす。
(3) いっぺんにではなく、頚椎(首の骨)」の椎骨(ついこつ)を、頭側から順に一つずつ動かすようにイメージして、顎を引いたまま、ゆっくりと頭を上げていく。
(4) 肩甲骨が床から離れるまで頭を上げたら、その位置で3秒間くらい保つ。
(5) 顎を引いたままの状態で、ゆっくりと頭を下げ、頭が床についたら、顎の力を抜き、元の体勢に戻り、深呼吸をする。
(6) 朝、目が覚めたら、布団から起き上がる前に、上記のエクササイズを行うと良い。別のときでも構わない。
(7) この体操は筋トレではなく、脳が 頚長筋 を感知し、頚長筋などから僧帽筋などへの動きを、脳が学習しやすくなる運動なので、一日に1~2回やれば充分です。
●上記と体勢が似ているので、以前に ご紹介した、腹横筋・多裂筋・骨盤底筋・腸腰筋など、骨盤まわりの深層筋のエクササイズも、次に載せます。
(1) 仰向けになって膝を曲げ、両腕は頭の上・体の両側・お腹の上など、適当な場所に置く。
(2) お尻と背中を床面に当て、お腹を膨らませながら上げていき、腰部と床面に隙間(すきま)を空けながら、鼻から息を ゆっくりと吸っていく。
(3) 吸いきったら、ゆっくりと元の状態に戻る。
(4) 背中を床面に当て、両足で踏ん張って、お尻(骨盤)を床面から上げていき、下腹部にも力を入れて お腹を へこませながら、口から息を ゆっくりと吐いていく。
(5) 吐ききったら、ゆっくりと元の状態に戻る。
(6) 上記の方法を、何回か(例えば10回くらい)繰り返す。
●エクササイズ中に、動かしづらさや痛みがあるときは、さらに、ゆっくりと無理せずに行ないます。
・少々の痛みがあっても、動かすことが大事です。体操や運動だけでなく、仕事や生活でも同じです。
・心身は動かしたり使ったり刺激を受けると、疲れや苦しみや痛みが出ることもありますが、それにより鍛えられ、慣れていき、順応してきます。
●以上のようなエクササイズ(体操・運動)や 呼吸法を試していると、脳や(自律)神経などが安定してきます。それにより、筋肉の動きや連携も回復してきて、深層筋肉が、うまく使われやすくなります。
・深層の筋肉群が働きやすくなると、深層と表層の各筋肉群や 骨格・内蔵との連携が取れやすく、無理や 無駄な力や 動きが少なくなり、仕事や生活の動作が安定して、心身の負担が軽減し、姿勢が保たれ、不調や不具合を感じにくくなります。
静岡県 富士市 なかつかヒーリングサロン 中司まゆみ・和正
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