体重を使う
自分の顔は相手から遠ざけて、顔や目はなるべく前方を見て、なるべく自分の肘を曲げないようにすることも大切です。体を近づけ、顔は遠ざけます。
また自分の体が安定して預(あず)けやすい場所に足を置き、自分の腰や腹の力も使って体重を乗せ、体全体をうまく利用して施術します。ベッドに自分の足を寄り掛けたり(リーン lean)、ベッドの上に膝を置いたりなど、ベッドもうまく利用します。
自分の足の位置・体勢・体重の掛け具合により、また手や指の位置・角度・力加減により、また体重を使った体全体の圧力・肩や腕の力・手や指の握力などの使い方により、受けた感じや効果も変わるので、それらをうまく組み合わせて使い分けます。
手や指の使い方
手は、手掌(しゅしょう)、手刀(しゅとう)、手根(しゅこん)、拳(こぶし)などを使い、指は、4指(よんし)、母指(ぼし)などを使います。両手・片手や、両指・片指を使い分けます。前腕(ぜんわん)や肘(ひじ)などを使うこともあります。
指の先端(指頭)や手の端や角を使ったり、指や手の腹(はら)などを使い分けます。指や手の角度も場所により場合により変えます。両手や両指を、離す、並べる、重ねるなどして、また、指を開く、閉じる、向きを変える、両手で行う、片手で行うなどを使い分けます。
施術の手技の動きは、ゆっくり・速く、大きく・小さく、縦方向・横方向・回転、動かす・止める、など使い分けます。また、揉捏(じゅうねつ・揉み解す・練りこねる)押圧揉捏(おうあつじゅうねつ・押し伸ばす)、把握揉捏(はあくじゅうねつ・つかみ伸ばす・つかんで引く)。一点押圧・回転押圧、しばらく同じ場所を押し続ける・ゆっくり溶かし沈める、などの技術を使い分けます。
施術の感覚
施術時には、相手の心身の効く所・痛い(痛気持ち良い)所、硬い(固い)所・凝(こ)っている所、張っている感じ、などを探しながら・感じ分けながら、または相手に聞いて確かめながら行います。
手技は、凝り(コリ)が解(ほぐ)れるように、張り(ハリ)が緩(ゆる)むように、神経などの過緊張が静まり、柔らかくなるように、溶ける、バラける、細くなる、小さくなるように、全体的にも柔軟になり、弛緩(しかん)し、動きやすくなることを、感じながら確かめつつ行います。
押し伸ばす感じ、引き寄せる感じ、沈め込む感じ、絞(しぼ)り上げる感じ、練(ね)り・捏(こね)る感じ、和らげる感じ、溶ける感じ、静まり落ち着ける感じ、などを工夫しながら、体のそれぞれの部位に応じて、また相手の状況に応じて、使い分け組み合わせていきます。
必要に応じて、刺激(しげき)する、起こさせる、強く押し続けるなど、または、削(けず)るように、抉(えぐ)るように強めに行うこともあります。
アロマオイルリンパマッサージの場合は、手や指などを滑(すべ)らせて行う手技が多いです。自分の肘を伸ばして自分の体重をうまく使い、手や指の使う場所を相手の肌に密着させて、擦(さす)り滑らせながら、上記の揉捏や押圧の技術もうまく入れ込んでいきます。
集中した施術
相手の希望や多めに施術をしてやりたい場所や凝っている所などを見つけて特定したら、いったん手順の流れから離れて、その場所やその周りを、ある程度ほぐれるまでか、一定時間その場所を集中して施術することも有効です。
うつ伏せ・仰(あお)向け・横向けなど、相手の体勢や手足の位置を変えて、違う方向から集中的に行うこともあります。
他の場所や他の手技を短くしたり省いたりしながらでも、特定した場所を多めに集中的に行い、そこが少しでも解れると他の場所や体全体も解れてゆき楽になることもあります。この場合お客様にも多めに集中して行うことを説明してください。
頭・首・肩・背中・腕などの不調は、肩甲骨の周辺・背骨ぞい・胸部や腋窩(えきか)脇(わき)の周りを丁寧に施術します。
腰・股関節・膝・足などの不調は、背骨ぞい・骨盤まわり・仙骨の周辺・大転子の周り・大腿骨(だいたいこつ)の外側や大腿部・骨盤の内側(お腹がわ)や鼠径部(そけいぶ)・腹部などを丁寧に施術します。股関節や膝の周囲も丁寧に行います。
足や手や頭など体の末端を丁寧に施術すると、全身に効果が広がることもあります。
基本は、体全体のつながりがあるので、どのような症状や希望があっても、全身を施術することが基本です。その中で多めに行う場所を決めたり探ったりしていきます。
療術とヒーリング
施術を何回も重ねていると、以上のようなことが自然に体で実体験され実感されていきます。うまくいかないこともありますが、自分がうまく施術できないと感じても、相手は受けたいと思っていることが多いです。完全や100点満点はありえないので、60点前後をうまくこなしていくと良いと思います。
自分でもうまくいったと思えるほうがやりやすいですが、とにかく諦(あきら)めないで続けていれば、触覚を元にした施術の感覚が体得されていきますので、色々な人に何回も練習してください。だんだんと総合力が増して療術の力が養われていきます。
何回も施術を繰り返していると、手や体の使い方が自然に分かり、そんなに考えなくても手や体が動いて施術できるようになります。そして知識や経験もより施術に生きてきます。施術現場の一体感や、自分の手と施術している場所との融和感が得られてきて、癒やす力(自然治癒力)やヒーリングの効果も増してきます。
静岡県富士市 なかつかヒーリングサロン&スクール 中司和正・まゆみ
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